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2022/08/25

【過失割合】ゼブラゾーン走行車との事故

検討事例〈ゼブラソーンを走行してきた自動車との事故〉

ゼブラゾーンは街中でよく見かける道路標示ですが,道路上に斜線で描かれた白線でその縁(周囲)も白線で囲まれています。多くは,交差点の右折・左折車線の直前や,複雑な交差点等交通渋滞や交通事故が起きやすい場所の道路など,車両の安全かつ円滑な走行を誘導する必要な場所に設置されていますが,一般的には走行することを目的に設置されているわけではありません。

 

しかしながら,ゼブラゾーン内を走行すること自体は道路交通法第17条の6項に規定されている,車両が進入してはいけない場所(立入り禁止部分,案全地帯)には該当しないため,道路交通法上の処罰の対象とはなりません。

したがって,車両の運転者はゼブラゾーンを走行しても道路交通法上の違反とはなりませんが,前述のようにゼブラゾーンが立入り禁止部分(斜線は白であるが,縁は黄色)の道路標示と似ていることや,道路上にあえてゼブラゾーンの標示がなされていれば,車両の運転者の意識としてもその中をみだりに走行してはならないとの意識するのが一般的と思われます。

 

この点,判例タイムズP291【153図】では,ゼブラゾーンを過ぎて右折レーンに進入しようとした自動車Aと,ゼブラゾーン内を直進してきた自動車Bの接触事故が例示されていますが,一般的に,進路変更車と直進車との過失割合は,進路変更車70:直進車30です。一方で,ゼブラゾーン走行車との事故の場合は,進路変更車60〜50:ゼブラゾーン直進車40〜50という具合になります。

10~20%の幅については,裁判等においてもゼブラゾーン走行車の事故への影響度が斟酌されると考えられますが,重要なのはゼブラゾーン内を直進した事実は修正要素に過ぎないということです。既述したようにゼブラゾーン内の走行は道路交通法上の違反行為には該当しないため,基本過失割合としては通常の直進車の扱いとなります。一般論としてゼブラゾーンの走行は適切では無いと思われていますが,法令上では下記のように規定されています。

 

・みだりに進路変更してはならない(道交法26条の2第1項)
・後続車の妨げとなる進路変更はしてはならない(道交法26条の2第2項)
・進路変更の3秒前にウインカーによる合図を行う(道交法53条1項および道交法施行令21条)

 

したがって,基本的には進路変更車の方がより注意を行わなければならないとの考え方が前記基本過失割合に表れているものと思われます。

この他にも,ゼブラゾーン走行車にかかる他の事故形態は,判例タイムズP279【147図】,P282【149図】での路外出入車とゼブラゾーン直進車との衝突事故もありますが,いずれもゼブラゾーン直進車は10~20%の不利な過失割合修正が行われるという運用が一般的となっています。

 

一般の運転者の感覚では,ゼブラゾーン内を走行してきた自動車の方が一方的に悪いような気がすることも多いと思いますが,交通事故実務上では必ずしもそのような解釈がなされていないことは運転者としては予め心得ておく必要がありそうです。