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2023/11/17

【過失割合】自転車同士の衝突事故

自転車の区分

 自転車(ここでは、「普通自転車」のことをいいます。)は運転免許も不要であり、老若男女誰しもが運転乗車できる便利な乗り物ですが、自転車は法律上「軽車両」として分類されおり、道路交通法第2条・第63条の3等で歩道と車道の区別のある道路では、車道の左側を通行しなければならないと規定されています(ただし、自転車道があれば自転車道を通行しなければならない)。また、自転車には例外的に歩道を通行できる場合として、〈道路標識等により自転車が当該歩道を通行することができるとされているとき〉、〈自転車の運転者が、高齢者や児童・幼児であるとき〉〈車道又は交通の状況に照らして当該自転車の通行の安全を確保するためやむを得ないと認められるとき〉が認められています。

自転車独自の交通ルール

 軽車両であるため、車両運転時同様に〈信号機に従う義務〉、〈酒気帯び運転等の禁止〉〈運転時の携帯電話使用禁止〉等は当然のことながら、自転車ならではの〈並進の禁止〉、〈片手運転の禁止〉等多くの交通ルールが設けられています。また、従前は〈児童・幼児のヘルメット着用〉でしたが、近時の自転車利用中の交通事故で死亡者の約6割が頭部に致命傷を負っていることを背景に道路交通法が改正され、令和5年度から自転車乗車の全ての年齢で努力義務とされたことは記憶に新しいと思います。
 このように、自転車には四輪車とはまた異なった多くの交通ルールがある一方、極端に言えば運転者本人の意思で道路のみならず地面さえあればどこでも走ることが可能であるため、自転車と自転車同士が交通事故となった場合、前記の交通ルールの順守状況や自転車の持つ特性(老若男女が乗車するため大きさや性能が異なる、等々)を考慮しつつも、これまで別冊判例タイムズ上でも【自転車対自転車】事故の過失相殺率の認定基準は定められていませんでした。

自転車の過失割合について

 一方、民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準(いわゆる「赤い本」)の下巻には【自転車同士の事故の過失相殺基準(第一次試案、2014年2月公表)】として掲載されています。基本的な過失相殺率の認定基準は四輪車対四輪車等の基準が準用されると思料しますが、修正要素項目は事故類型によって異なりますが〈高速度進入〉や〈夜間無灯火〉等々が考えられています。向後、数々の検証を経て、前記判例タイムズに記載される日もそう遠くないと思料します。
 最近の交通事故の報道で、【自転車対自転車】の報道もにわかに増加しています。万一、相手を死亡させた場合などは高額の賠償が必要となることは必至ですので、交通ルールの順守とともに自転車損害賠償責任保険(いわゆる自転車保険)に加入するなど、あらかじめの備えも必要と思料します。