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2023/10/26

【過失割合】結果回避行動(非接触事故)

非接触事故とは(驚愕転倒事故)

一般的に「交通事故」と言えば、車両対車両等の「衝突を伴う事故」を思い浮かべますが、衝突を伴わなくても一方の車両等に損害賠償責任が発生する事故も少なくありません。この形態の事故は表題に示す通り、「結果回避行動(非接触事故)」と呼ばれ、最も多いのが四輪車対二輪車のいわゆる「驚愕転倒事故」と言われるものです。

弊社調査事例

弊社で調査を行った事案の概要は、片側一車線道路を直進してきた自動二輪車(以下、A車と言います。)が、前方左方の駐車場から右折合図を出し歩道を越え、まさに道路に右折進入しようとした四輪車(以下、B車と言います。)を発見し、急ブレーキをかけたところタイヤがロックしてA車が転倒、当該運転者が負傷したという事案でした。このような事故類型の場合でも、通常の事故と同様に、加害車両の運行と当該事故との間の因果関係及び加害者の過失が必要とされます。そのため、B車がA車の運転者に対して損害賠償責任を負うのか否かを慎重に検討する必要があります。

 

弊社において資料を基に検討した結果、B車が右折合図を出して歩道を越え道路に進入した瞬間に、A車が危険を感じ衝突を避けようと急ブレーキをかけたため、転倒した状況が窺われました。したがって、道路状況および両者の位置関係等を踏まえると、本件事故はB車が路外から道路に右折進入しようとしたことが事故を誘因した直接の原因と考えられたことから、当社としては弁護士に対しB車はA車に対して損害賠償責任を負う可能性が高い旨の調査報告を行いました。
A車は結果として、転倒後に滑走してB車に衝突している訳ですが、通常の事故のみならず、本事案のような事故類型も双方車両の過失割合は、基本的には、別冊判例タイムズ38のP362【218図】を準用するケースが一般的です。本事案の場合は、基本過失割合は二輪車10%:四輪車90%となりますが、双方車両がそれぞれ修正要素として記載の内容に該当すれば、双方の過失割合が加算・減算されるのが一般的であると思います。

その他の裁判例について

類似の「非接触事故」でも、四輪車が停止線で一時停止後、自動二輪車の走行延長上に至ることなく再停止していても急ブレーキで転倒した自動二輪車に損害賠償責任を負うとした一方、自動二輪車の過失を重過失減額適用の80%とした裁判例(出典:新日本法規社「事例にみる新類型・非典型交通事故の過失相殺」)もあります。本事例の場合は、一般的には、別冊判例タイムズ38のP322【169図】が準用されるケースと考えられますが、自動二輪車の制限速度10km超過(前記出典内容から)の修正要素10%を考慮しても、通常の事故の場合、自動二輪車45%:四輪車55%の過失割合ですが、本事例の裁判所の判断は、四輪車が自動二輪車の走行延長上に車両前部を出さずに再停止していたことを評価し、転倒は専ら自動二輪車による不要な回避措置(急ブレーキ)によるものと判断したと考えられます。

前述のように、非接触事故は、加害車両の運行と当該事故との間の因果関係及び加害者の過失が要件となりますので、加害者の有無責及び被害者の重過失減額の有無を特定するためにも調査には慎重な対応が必要になります。

 

過失割合に疑問がある場合

本件のような「非接触事故」は過失割合や事故原因等のトラブルに発展しやすいケースの代表例と言えます。このような問題でお困りの方は、ぜひ早期に弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。交通事故に強い弁護士の見つけ方についてはコチラのブログ記事をご参照ください。

なお、弊社は一般の方からの直接のご依頼、個別事案に関する具体的なご相談は承っておりません。予めご了承いただきますようお願い致します。