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2022/06/13

自賠責保険・共済紛争処理機構利用のススメ

「自賠責保険・共済紛争処理機構への申請」

 

弊社への相談事案について

弊社で受け付ける調査事案の多くは自賠責保険審査の認定内容(傷害,後遺障害,死亡)にかかるご相談が多くの割合を占めています。

具体的には,〈傷害事案〉では加害者無責判断(有無責),受傷否認(相当因果関係)等にかかる妥当性または必要資料等にかかるご相談,〈死亡事案〉では限度額の50%の認定(因果関係認否困難事案),〈後遺障害〉では自賠責での等級認定の可能性,あるいは,非該当とされた事案の14級認定の可能性,14級認定の場合は上位等級認定の可否等々,自賠責保険全般にかかるご相談に対応しています。

 

他方,調査事案を受け付けた段階で既に係争中となっているケースも少なくありません。裁判上の和解や判決結果は,自賠責の判断内容にかかわらず尊重されることが一般的です。一方で,事案の検討を進めていくうちに,被害者にかかる因果関係・後遺障害における素因減額,あるいは事故態様による過失減額によっては,必ずしも訴訟上の解決が被害者にとって有利になるわけではないという事実に気付かされます。

これは自賠責保険においては,7割未満の過失に対しては傷害・後遺障害・死亡のいずれに対しても過失による減額が行われない(重過失に対する減額措置しかない)ためです。また,自賠責保険における評価には「素因減額」という観点はありません。

異議申立て先について

自賠責保険の決定に対しては,第1選択肢としては自賠責保険に対する異議申立て手続を行うことが一般的です。

しかし,自賠責保険においてどうしても結論変更に至らない場合,その後に残される手段は訴訟,または,自賠責保険・共済紛争処理機構(以下,紛機と言います。)での調停となります。

ご相談を受ける中で当該紛機まで利用されている事案は弊社相談事案では少数で,紛機への申立てを経ずに訴訟に至っている事案の方が多いと感じます。これには事案毎にさまざまな理由(異議申立てが1度しかできないことや,不利益な結論を重ねたくない,訴訟提起の方が解決までの時間的メリットがある等々)が挙げられるようですが,前述した自賠責保険の制度的(重過失減額や素因減額等)を考慮すると,自賠責保険の範囲で解決する方が被害者の手元に残る賠償額が多い事案があることも事実です。

専門家への相談が必要です

このような事案が一定数存在する事実からも,素人ではこのような判断を行うことは非常に困難ですので,やはりこれらの検討については専門家である弁護士に依頼することが望ましいと思います。

自賠責保険審査の不服等による紛機への調停申立は,資料取り付け等の実費以外基本的に無料であること,自賠責と同様重過失減額は70%以上であり,70%未満は減額対象外であること等,事案内容によってはむしろ被害者様に有利になるケースもあります。

むろん,紛機は裁判係争中・他の調停機関で申立中の事案は受付不可,提出資料は自賠責審査時と同一資料であること(例えば,追加で取り付けた医師回答書等の資料は,まず自賠責への異議申立で使用する必要がある)等,少なからず制約はありますが,自賠責で異議申立を行っても納得いく回答が得られなかった事案でも,毎年一定程度の事案につき自賠責保険の結論が変更されています。

交通事故は形式的な解決案が優先される場面が多いところがありますが,一方でこの形式的過ぎるが故のシステムによって救われている被害者がいることも事実だと思います。

 

自賠責保険(調査事務所),紛争処理機構,裁判所と,交通事故は他の損害賠償事案と比較して,判断権者が複数いるというのはある意味特殊な事案かもしれません。それぞれの判断権者の特性を理解し,被害者にとって最良の結論を得ることは非常に困難だと思います。したがって,できるだけ早期に専門家である弁護士に相談することが肝要であると思います。