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2022/09/29

【過失割合】駐停車車両への追突事故

検討事例 駐停車車両への追突事故

 内閣府ホームページの平成30年中の『事故類型別交通事故発生件数』(警察庁資料による)では,追突事故が最も多く全体の34.7%を占めています。

 一言で追突事故と言っても,信号待ち停止中車両への追突等々その事故状況はさまざまですが,本件では判例タイムズ38 P300【157図】の《駐停車車両に対する追突事故》について考えてみました。基本的には,駐停車車両に法令違反等がない限り【157図】のとおり,追突車両100:被追突車両0ですが,被追突車両(駐停車車両)にも相応の過失割合が認められるケースが少なくない事故類型の一つです。
 道路交通法第44条で〈停車及び駐車を禁止する場所〉,同法第45条では〈駐車を禁止する場所〉として細かい制限が規定されています。当然のことながら,その道路が駐停車禁止・駐車禁止となっている場合,その規制に反して駐車(停車)した場合は駐停車車両にも過失ありとなります。その他,夜間・降雨等視認不良の場合,非常点滅灯(ハザードランプ)の不灯火,三角反射板の未設置,駐停車方法不適切等々,駐停車車両に対しても過失割合修正要素が比較的多岐に亘ります。
 では,「駐車禁止」の規制のみがなされている道路で「停車状態」とはどのようなケースを言うのでしょうか。道路交通法第2条18号で「駐車」とは「車両等が客待ち,荷待ち,貨物の積卸し,故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で5分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。),又は車両等が停止し,かつ,当該車両等の運転をする者(運転者)がその車両等を離れて直ちに運転することが出来ない状態にあることをいう」と規定され,同法19号で「停車」とは「車両等が停止することで駐車以外のものをいう」と規定されています。したがって,《バス・タクシーの乗降や,荷物の積卸しで5分以内に作業が終了するもの》等は「駐車禁止」の場所でも基本的に「停車」に該当することになり駐車違反とはなりません。
ただし,《運転者が直ちに運転できる状態での停車》であっても,運転者が仮眠目的での停車,運転席で弁当を食べる目的での停車等は,実際に停車時間5分以内が立証できれば別ですが,立証できなければ5分を超える蓋然性が高いために「駐車」と判断されるケースが多いようです。
 他の事故類型と同様に追突した車両の著しい過失・重過失(速度違反,酒気帯び,携帯電話使用,脇見等)が問われるのはもちろんですが,被追突車両(駐停車車両)が「駐車禁止」規制のある道路での「駐車」,あるいは「停車」と判断されるのかを始め,前述のとおり,夜間・降雨等視認不良の場合,非常点滅灯(ハザードランプ)の不灯火の場合,三角反射板の未設置の場合,駐停車方法不適切の場合等々,被追突車両(駐停車車両)にも問われる過失割合修正要素が多い事故類型の一つです。